観客が凝縮して集まる熱気はなくても、たとえお互いに距離があっても、
いつでも映画は私たちのそばにあって、新しい世界の姿を見せてくれます。
このかけがえのない映画体験を再び私たちのもとへ手繰り寄せましょう。
今年も海に浮かぶ映画館でお待ちしております。


12月3日(金) 19:00〜 『わたし/あいだ/わたし』

『わたし/あいだ/わたし』

2021/8min/8mm/パートカラー

<作品紹介>

20192020年にかけて制作された本作は、監督本人の祖母の家で撮影された。監督自身が小さい頃に聞いた戦争の話、家についての個人的な思い出と、三世代の女性たちにまつわるフィクションが行き来する。祖母の家への郷愁を軸としながら、母・娘という循環的な関係が交錯していく構造となっている。

 
<キャスト>
中川ゆかり

<スタッフ>
監督・撮影・テキスト・編集:深田隆之/音楽:本田真之/製作:√CINEMA

 

 

12月3日(金) 19:00〜 『ナナメのろうか』

『ナナメのろうか』
2021/45min/モノクロ

 

<あらすじ>
介護施設に入っている祖母の家を片付けに来た姉妹、聡美と郁美。改装される予定の祖母の家を少しずつ片付け始める2人だったが、徐々に彼女たちの微妙な溝が露わになっていく。

<キャスト>
吉見茉莉奈/笠島 智

<スタッフ>
監督・脚本・編集:深田隆之/撮影:山田 遼/録音:河城貴宏/照明:小菅雄貴/音楽:本田真之/整音:黄永昌/助監督:高橋壮太/制作:南 香好

 

<監督プロフィール>
深田隆之(ふかた たかゆき)

1988年生まれ。2013年、短篇映画『one morning』が 仙台短篇映画祭、Kisssh-Kissssssh 映画祭等に入選。2018年『ある惑星の散文』が第33回ベルフォール国際映画祭(フランス)の長編コンペティション部門、国内では福井映画祭にてノミネート。20194月アメリカ、ポートランドで行われたJapan Currents、日本映画特集にて上映。映画制作以外の活動として、社団法人こども映画教室の講師・チームファシリテーターとしても活動中。

 

 

12月4日(土) 11:00〜 『コールヒストリー』

『コールヒストリー』
2019/89min/カラー

<作品説明>

福島県の一帯に〈声〉と呼ばれる都市伝説がある。ふとした時、知らない誰かに声をかけられ、他愛もない会話をする。話しているあいだは気づかないが、後になってからはたと気づく。「さっきまで話していた人はヒトではなかった。私はいま〈声〉を聞いたのだ」と……。幼い頃に体験した〈声〉に魅了され、二度目を聞くための手がかりを探し求める「彼」と、その探索に付き合ってきた「私」の関係は、〈声〉に関心をもつ「美術家」の来訪をきっかけにして、少しずつ、だが決定的に変化していく。三者の心象風景を語る朗読音声と、彼らが見たであろう風景映像の重ね合わせによって描く、21世紀の風景論映画。

 


<キャスト・スタッフ>
制作:佐々木友輔/脚本:佐々木友輔、菊地ゆき/朗読:菊地ゆき/音楽:田中文久

<監督プロフィール>
佐々木友輔(ささき ゆうすけ)

1985年兵庫県生まれ。映像作家、企画者。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。現在、鳥取大学地域学部講師。「揺動メディア」「場所映画」など独自の映画理論の構築と実践を行う。主な長編映画に『土瀝青 asphalt』(2013)、『TRAILer』(2016)、『コールヒストリー』(2019)、『映画愛の現在』三部作(2020)など。主な著作に『人間から遠く離れて――ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』(共著、トポフィル、2017)、「房総ユートピアの諸相――〈半島〉と〈郊外〉のあいだで」(『半島論』所収、響文社、2018)、「フローズン・サムネイル・フレームズ――空間へと圧縮された時間」(『ジョナス・メカス論集』所収、neoneo編集室、2020)等。

 

 

 

12月4日(土) 16:00〜 ブンデスリーガ

『ブンデスリーガ』
2017/65min/カラー

<あらすじ>
東京から地元に戻り、廃校になった母校でひとり暮らすカネゴン(28歳)。卓球の本場であるドイツのブンデスリーガで活躍することを目指し、体育館で日々練習している。そこに中学校の同級生たちが訪れるようになり、旧友と遊んでいく中でカネゴンの「今」が浮き上がっていく。

<キャスト>
金子祐史/青坂 匡/圓谷/亀井史興/安楽 涼/麻野貴士

<スタッフ>
監督・脚本:太田達成/脚本:木村孔太郎/撮影:深谷祐次/照明:井前隆一朗/サウンドデザイン:新井希望/美術:岡田明彩子/編集:坂本悠花里/プロデューサー:勝山侃洋

<監督プロフィール>
太田達成(おおた たつなり)
20歳の頃から友人と映画制作を始め、初の短編作品『海外志向』が京都国際学生映画祭2012でグランプリを受賞。ドキュメンタリー映画『遊びのあと』などの制作を経て、2015年に東京藝術大学へ入学。卒業制作である『ブンデスリーガ』はPFF2017、FILMADRID2018(スペイン)のなどに入選。現在、長編映画『石がある』の仕上げ中。

 

 

12月5日(日) 11:00〜 自画像:47KMの窓

『自画像:47KMの窓』
2019/110min/カラー

<作品説明>
監督が長期間にわたって撮影を続ける中国山間部の小さな村。その村を見下ろす小屋の壁には、年月を経てかすれた「○○主義が中国を救う」の文字。監督は一人の少女に○○の部分についての考えを問い、少女は「戦争もしてないのに、国を救う必要なんてあるの?」と問い返す。少女は村の老人たちの似顔絵を描き続ける。

<キャスト>
出演:方紅(ファン・ホン)/李貴庭(リー・グイティン)

<スタッフ>
監督、撮影、編集、録音:章梦奇/製作:章燕(ジャン・イエン)/製作会社:草場地ワークステーション

<監督プロフィール>
章梦奇(ジャン・モンチー)
1987年生まれ。2008年に中央民族大学舞踏学院を卒業した後、2009年より北京郊外の草場地ワークステーションに滞在し、映画作家・舞踊振付家として活動する。これまで制作した「自画像シリーズ」として知られる長編ドキュメンタリーはすでに10本を数え、最新作『自画像:47KMのおとぎ話』は山形国際ドキュメンタリー映画祭2021のインターナショナルコンペティションにて配信上映された。

 

 

12月5日(日) 16:00〜 人妻集団暴行致死事件

『人妻集団暴行致死事件』
1978/96min/カラー/R-18

◉日活ロマンポルノ
※女性専用エリアがございます。



<あらすじ>
20歳そこそこの青年3人組。何ごとにも中途半端でブラブラしているはみ出し者。ある日、3人は養鶏場から卵を盗み逮捕される。翌日3人は釈放されるが、養鶏場の主・泰造はそんな彼らに昔の自分を思い浮かべ、4人は毎晩のように飲み歩く仲となるが……。
目をかけてやっていた若者たちに妻を強姦の末、ショック死させられた男の姿を描く。

<キャスト>
室田日出男/黒沢のり子/酒井昭/深見博/古尾谷康雅 ほか

<スタッフ>
監督:田中 登/プロデューサー:三浦朗/企画:佐々木志郎/原案:長部日出雄/脚本:佐治乾/撮影:森勝/美術:柳生一夫 ほか

<監督プロフィール>
田中 登(たなか のぼる)
1972年『花弁のしずく』でデビュー。『㊙︎色情めす市場』といった作品は現代でも多くの観客に愛され、神代辰巳と並ぶロマンポルノの巨匠と呼ばれた。本作『人妻集団暴行致死事件』で1979年日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞する。1980年以降は活躍の場をテレビドラマの演出に移していった。