コロナ禍の影響で船会場での開催が中止となり、webによる配信上映に切り替えた第8回目。「うみ」「ふね」「みなと」の3プログラムに分け、今まで海に浮かぶ映画館で上映した作品の傑作選としてプログラムを組んだ。監督たちへのインタビュー映像なども交え、8回目までの軌跡を辿るような映画祭の形となった。
2019年12月6〜8日に開催された7回目の海に浮かぶ映画館。ジャン・ヴィゴ監督の名作『アタラント号』を世界で初めて艀船の中で上映した。また、Spice Filmsさんの協力で、第1回目以来6年ぶりに8mmフィルムで制作された作品たちを上映することになった。そのほか、草野なつか監督の野心的な試みの映画『王国(あるいはその家について)』や矢崎仁監督の初期傑作『風たちの午後』、館長・深田隆之による映画の上演『私のための風景映画ーミナトの見える横浜編ー』など多様なプログラムとなった。
2018年12月7〜9日に開催された6回目の海に浮かぶ映画館。「風景」をテーマとした計8作品を上映。その中にはいわゆる実験映像とカテゴライズされるものから劇映画まで、様々なものが揃った。また、鈴木卓爾監督の『ゾンからのメッセージ』、七里圭監督の『あなたはわたしじゃない』は、両監督とも2度目の海に浮かぶ映画館での上映となった。
2017年12月8日〜10日に開催された5回目の海に浮かぶ映画館。フィルム上映として、初めてフレデリック・ワイズマンの作品を上映した。また、館長である深田隆之の作品『ある惑星の散文』上映に合わせて、本作出演の中川ゆかりさんによる芝居を上演するなど、新しい試みを行った。冨永監督の『亀虫』には多くの出演者が駆けつけてくださり、『無言日記2014』の三宅監督に急遽会場へ足を運んでもらえることになるなど、サプライズな演出もあった第5回。
2016年12月16〜18日に開催された4回目の海に浮かぶ映画館。注目の若手監督たちの作品上映やミニライブ、そして『二十代の夏』『流網船』『なみのおと』など、初めて”海”や”船”といったモチーフが頻出する作品を上映した。また、「フィクション」と「ドキュメンタリー」を問う映画作品が集まった上映でもあった。
2016年7月16日に第四回海に浮かぶ映画館のプレイベントをさくらWORKSで開催しました。このイベントには去年開催した第3回海に浮かぶ映画館に参加してくださった方もいらっしゃいました。
第一部は七里圭監督の『サロメの娘 アナザサイド in progress』を上映した後に七里圭監督をお招きして、海に浮かぶ映画館の館長とのアフタートークを開催しました。第二部ではtomito architectureの伊藤孝仁さんと富永美保さんや、シネマ・ジャック & ベティの梶原俊幸さんをトークゲストとしてお招きして、建築家目線からの映画館と映画館を運営する目線からの映画館の存在についてお話をお伺いしました。
2015年12月4〜6日に行われた3回目の海に浮かぶ映画館。
この年からTwitterやFacebookを始め、関わってくれるスタッフも増えていきました。引き続き『砂の女』を上映、そして、すでに劇場公開作品を撮られている若手映画監督の作品も上映し、活気のある上映会になっていきました。
2日目には諏訪敦彦監督をトークゲストに、3日目には七里圭監督作品上映+トークゲストとしてお招きしました。実は3回目にして初めてトークゲストとして映画監督をお呼びしたのです。
2014年12月5〜7日に行われた2回目の海に浮かぶ映画館。
日数を増やし、3日間5プログラムで行われました。『泥の河』に加えてインディペンデント映画を増やし、様々な種類の映像作品を紹介するようになります。また、特別上映として勅使河原宏監督の『砂の女』を16mmで上映しました。
実は、この段階で海に浮かぶ映画館を続けるかということ自体不透明だったのですが、編集者・批評家である藤原ちからさんとのトークショーの中で翌年のイベント開催が決定したのでした。
映画を作っている人間がこの上映会を行う意味のようなものを考え始めたタイミングでもあります。
2013年12月20日〜21日、小栗康平監督作品『泥の河』の16mmフィルムを借りられる機会があり、せっくなら上映会にして他の作品も上映してみようと始まったのが、この海に浮かぶ映画館です。
2日間で3つのプログラム。8mmの短篇実験映像からデジタルで撮られた短篇映画まで、映画というメディアの歴史を一気に辿るような上映形式でした。当時は全て同じプログラムで上映を行っていました。
映写室のない船の中で、フィルムチェンジもその場で行いながら上映を進めるというスタイルは一番最初からあったものです。この”映画を観ている時間を体験する”ということがその後のコンセプトのひとつになっていきます。